基本は仮プレイング置き場
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守宮かなめは部屋を出る。
溜めに溜めたありったけの『力』を抱えて、戦場へ向かう。
世とは大地、世とは空、世とは世界全てを構成遍くもの。
土地神とは、限定的ながら世の理を司るもの。
ならば…この戦いで滅びゆくものはどちらであっても構わない。
神とは概念でなくてはならない。崇められ、恐れられ、信仰の見返りを求められたとしても何の手も下さない。
在って無きもの。土地神を名乗るならば、ヒトに肩入れし過ぎることは決して褒められたものではない。
故に土地神の一族は隠遁を決めたのだから。
しかし、一族は少女を残して滅びた。
座敷牢で、いつも通り山のような書物を読み漁るだけの日々を過ごしていたその間に。
父も母もそれ以外の顔見知りも、ありとあらゆるものが残骸と化した。
その惨状を目の当たりにして、それでも少女は…守宮かなめは泣くことも無ければ、
幽閉から解放されたことを喜ぶ事も無かった。
淡々と、ただ淡々と外を識る事に没頭し始め、土地神として自らが納める場所を探し始めた。
残ったものの務めを果たすために。
そして幾多の流浪の果てに、かなめは今、此処にいる。
少しだけ生に執着を持って、今を生きたいと願う…当たり前の少女となって。
友達が出来た
それだけで神様は変わったのだ。
それっぽっちのことを十数年知らなかった。
世を乱してまで守るべきもの得てしまったことは、神としては恥ずべき事だ。
それでも
「それでも」と…かなめは思う。
何もせずに惰性で生き、蓄えた力を死蔵し、それを使命とすることにどれ程の意味があるのか。
守宮かなめは土地神である。…だが、今は守宮かなめでもある。
「今日は神様は休業なのよ。『私』は欲しいものが沢山あるし、まだ死にたくなんてないのよ」
だから、少女は部屋を出る。
外へ出れば土地神は「守宮かなめ」になれる。
多分、それは嘗て誰かが願った少女の姿。
「生前」に見ることの叶わなかった少女の幸せ。
それは少女が知らない物語。
誰かが綴った思いの断片。
満足そうに微笑む二つの幻が、朝焼けに掻き消えた。
溜めに溜めたありったけの『力』を抱えて、戦場へ向かう。
世とは大地、世とは空、世とは世界全てを構成遍くもの。
土地神とは、限定的ながら世の理を司るもの。
ならば…この戦いで滅びゆくものはどちらであっても構わない。
神とは概念でなくてはならない。崇められ、恐れられ、信仰の見返りを求められたとしても何の手も下さない。
在って無きもの。土地神を名乗るならば、ヒトに肩入れし過ぎることは決して褒められたものではない。
故に土地神の一族は隠遁を決めたのだから。
しかし、一族は少女を残して滅びた。
座敷牢で、いつも通り山のような書物を読み漁るだけの日々を過ごしていたその間に。
父も母もそれ以外の顔見知りも、ありとあらゆるものが残骸と化した。
その惨状を目の当たりにして、それでも少女は…守宮かなめは泣くことも無ければ、
幽閉から解放されたことを喜ぶ事も無かった。
淡々と、ただ淡々と外を識る事に没頭し始め、土地神として自らが納める場所を探し始めた。
残ったものの務めを果たすために。
そして幾多の流浪の果てに、かなめは今、此処にいる。
少しだけ生に執着を持って、今を生きたいと願う…当たり前の少女となって。
友達が出来た
それだけで神様は変わったのだ。
それっぽっちのことを十数年知らなかった。
世を乱してまで守るべきもの得てしまったことは、神としては恥ずべき事だ。
それでも
「それでも」と…かなめは思う。
何もせずに惰性で生き、蓄えた力を死蔵し、それを使命とすることにどれ程の意味があるのか。
守宮かなめは土地神である。…だが、今は守宮かなめでもある。
「今日は神様は休業なのよ。『私』は欲しいものが沢山あるし、まだ死にたくなんてないのよ」
だから、少女は部屋を出る。
外へ出れば土地神は「守宮かなめ」になれる。
多分、それは嘗て誰かが願った少女の姿。
「生前」に見ることの叶わなかった少女の幸せ。
それは少女が知らない物語。
誰かが綴った思いの断片。
満足そうに微笑む二つの幻が、朝焼けに掻き消えた。
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